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まずベッドの位置が違う、紗栄子のベッドは壁に寄せてあるが、このベッドはヘッドボード側だけ壁に寄っていた。そのベッドも遥かに大きく高級感のある物だと判る。部屋も広い、テーブルやテレビなど余計なものがない事が余計に広く感じるようだ。
「え、なんで……っ」
紗栄子は体を起こした、全裸だ、胸を上掛けで押さえて起きたが、その時判った、乳房のふくらみがいつもより明らかに大きい。
「──は?」
思わず布団を外してそれを見た、スレンダーでボーイッシュといえる体付きのはずが、下着もないのに谷間があるバストは脚の付け根すら隠している。
「え? なんで……」
思わず手で包みその存在を確認する。確かに自分の体についているものだった、温かく柔らかな肉のボリュームを感じて思わず握り締めた。自分の体なのに心地よい感触に感動してしまう。
「……いやいや」
恥ずかしくなった時、その手首にある傷に気づいた。左の手首に、幾筋もある赤い傷が。
(──リストカット?)
そんなことをした覚えもないのに──。
「……うっせぇ」
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