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「二階の……ここだね」
階段をのぼって正面を右へ。他の二部屋よりも二帖ほど小さい。けど、私にはじゅうぶんだった。
ドアをあけると、なぜか……稜太くんが腕を組んで、満足気に窓から外を眺めていた。
「……どうしたの?」
「いやー、オレの部屋は反対側だから、あんまりこっち側の景色見れなくてさ」
「そう。……あの、荷物を整理、したいんだけど」
「あっ、そっか。ごめんごめん。また部屋に来てもいい?なおくんもオレの部屋来ていいからさ」
「あはは、いいよ。そうする」
「んじゃそゆことで。またあとでね〜」
明るく笑って稜太くんが部屋を出ていく。扉がしまってようやく一息ついた。
「ふう。……とりあえず、引っ越してくるのは成功した。夕真はいつも通りぐーすか寝てたし、アイツの要望通りお金は置いてやったし、どうせ私のことなんか気にしてやないだろうし。…………新しい働き先も探さないとなぁ」
窓から見える景色は、これまで見ていたビル街とは違って、他の家の屋根とかも見えて空を広く感じる。
「……キャリーケースの中にある服を出したら、リビングに行くとしようかな」
服にシワができてしまう前に。なぜなら、つい昨日買った服ばかりだから。
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