3.はじめまして

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「二階の……ここだね」  階段をのぼって正面を右へ。他の二部屋よりも二帖ほど小さい。けど、私にはじゅうぶんだった。  ドアをあけると、なぜか……稜太くんが腕を組んで、満足気に窓から外を眺めていた。 「……どうしたの?」 「いやー、オレの部屋は反対側だから、あんまりこっち側の景色見れなくてさ」 「そう。……あの、荷物を整理、したいんだけど」 「あっ、そっか。ごめんごめん。また部屋に来てもいい?なおくんもオレの部屋来ていいからさ」 「あはは、いいよ。そうする」 「んじゃそゆことで。またあとでね〜」  明るく笑って稜太くんが部屋を出ていく。扉がしまってようやく一息ついた。 「ふう。……とりあえず、引っ越してくるのは成功した。夕真はいつも通りぐーすか寝てたし、アイツの要望通りお金は置いてやったし、どうせ私のことなんか気にしてやないだろうし。…………新しい働き先も探さないとなぁ」  窓から見える景色は、これまで見ていたビル街とは違って、他の家の屋根とかも見えて空を広く感じる。 「……キャリーケースの中にある服を出したら、リビングに行くとしようかな」  服にシワができてしまう前に。なぜなら、つい昨日買った服ばかりだから。
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