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2.作戦会議
「え!? 本気!?」
二週間前、カフェの店内。
友達の藤北亜梨珠が珍しく大きめな声をあげるのは、当然だった。
亜梨珠はふんわりした雰囲気の、いわゆる癒やし系。大学を卒業するまでは黒髪だったはずだけど、今は濃い茶色の髪。
「声が大きいよ、亜梨珠」
「だって……そのルームシェアって、男性の入居者を募集してるんでしょ?」
彼女の隣で寝ている、俊輔くんが目を覚ますかと思ったけど、すやすや眠っている。
亜梨珠は既婚者、つまり彼女の息子。二歳児は大変なこともあるだろうけど、この年になった私にとってはかわいいものだ。
「うん、でもさ……もう夕真とは暮らせないから」
「話したの?」
「まだ。次の部屋を決めてから行動しようと思って」
「金子くん、大学の時からだいぶ……自由奔放だったけどね」
金子夕真。今、もっとも思い出したくない人。
私と夕真は大学が同じで、一年付き合って二年同棲して、そろそろ結婚したい――という時になって、わかった。
夕真は、セフレを何人も作っていた。
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