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3.はじめまして
そして、時をもどして引越し日。
稜太くんが玄関のドアをあけてくれて、二人そろって入る。
「はい、どーぞ。来るのは面接日以来だよね〜」
「そうなるね。今日からここに住めるのが嬉しいよ」
稜太くんはまるで弟のように接してくれている。
面接という名の顔合わせで話したのはこの稜太くんと――。
「春崎さん。いらっしゃい」
にこり、と優しい笑顔が印象的な好青年、中園慎一郎さん。落ち着いた藍色の髪がよく似合う。警備員の格好もきっと…見たことはないけど、めちゃくちゃかっこいいんだろうなあ……。
「今日からお世話になります」
「そんなかしこまらなくていいよ」
「シンくんは最年長だからね〜」
そう、慎一郎さんは33歳。私の5つ上だ。
年相応の落ち着いている大人の男性。……普段、あまり話さないタイプだから、ちょっと緊張する。
「稜太くん、春崎さんの鞄を部屋まで持っていってあげて」
「そのつもりだったよ〜」
「えっ、で、でも……」
私が戸惑うのをよそに、稜太くんはよいしょ、とキャリーケースを抱えて階段をのぼっていく。
「大丈夫、いくら稜太くんでも勝手に鞄を開けたりはしないよ」
「あ、いや……そういう心配はしてないですけど……」
もちろん、それもされたら困るけど。下着があるからすぐにバレてしまう。
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