3.はじめまして

2/3
前へ
/7ページ
次へ
「ベッドとか、前の人のままで本当にいいのかい?」 「大丈夫です。カバーは変えてもいいってことなので」 「そっか。じゃあ鍵のこととかも話したいから、落ち着いたらリビングに来てもらえるかな」 「わかりました」 「もしスリッパ使いたかったら、新品を三つ用意してるから、好きなのを使って。それじゃ、お茶を準備して待ってるね」  にこ、と笑った慎一郎さんに、私も笑ってかえす。彼がリビングへと行ったのを見送り、ちらり、と視線を下げた。  たしかにスリッパが三つ。  ひとつは紺色に白い線のボーダー柄、ひとつは薄いクリーム色の無地、そして草のような蒼色に白のチェック柄。  ……どれもよさそう。 「これにしよう」  目についた薄いクリーム色にすることにした。  ……うん。スリッパ、使い慣れてないけど、意外といいかも。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加