花開く、夢開く

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 ***  その後も、その翌日も、その翌々日も。いろんな子供達が入れ替わり立ち代わり自分のところに来て“るるかの夢を叶える手伝いがしたいから助けて欲しい”と願い出て来たのだった。その中には、さくらこちゃん、ゆめこちゃんのようにちょっと叶えられないようなものも含まれてはいたが。最終的に、クラスの殆どの子からそういうお願いが出てきたことに、私は驚かされたのである。  蕾のお花を描くのは、何も間違いではない。  ネガティブな理由が現れているならともかく、彼女の様子からして前向きな意味を込めて蕾を描いているのもわかっている。それでも、彼女の夢がかなうように、何か手伝いをしたいと思った子供達がこんなにいたのだ。  自分の得になることではない。それでもただ、友達の役に立つために自分なりの努力をする。困ったら先生に尋ねる。なかなか幼稚園の子供が積極的にできることではないだろう。  こうなったら、もういっそ直接“夢”の内容を訊いてしまった方がいいかもしれない。私は思い切って、帰りの会の後に本人に尋ねてみることにしたのだった。 「るるかの夢?いいよ!先生には特別に教えてあげる!」  秘密!と言って誤魔化されるかと思いきや。彼女はちょっと恥ずかしそうに、私の耳元で囁いたのだった。 「あのね。るるかが、みんなの役に立って、みんなに愛される素敵な女の子になったらね、お花も咲くの。それがるるかの夢なの」  絶対に内緒だからね、と顔を真っ赤にして言う少女。なんとまあ可愛らしいことだろう。私の頬もついつい緩んでしまう。  そして、彼女の頭を撫でながら言ったのだった。 「じゃあ、もう花開いてもいい頃ね。だって、るるかちゃんはとっくに、みんなに愛される素敵なレディなんだもの!」
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