醜悪な事実

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醜悪な事実

その事実を知ったのは確か小学生の高学年に入った頃だろうか…母親が何とも言えない表情で「大切な話がある」と伝えてきた。 いつもの優しい雰囲気ではなく緊張を何人たりとも許すことが出来ないという状況を幼い自分でも感じ取るぐらいにその時の母の表情はとても怖く感じた。 この日常がもしかしたら崩壊するかもしれない と幼き自分も感じ取っていた。 そして、ただ何も発せず頷いた。 食卓テーブルに向かい合って座り 母が打ち明けたのは 耳を疑うものだった。 「貴方には血の繋がった弟がいるの。 でもね、その弟はお母さんの子どもじゃない。」 言い換えれば、腹違いの弟がいる。 父は母との別に家庭を持ってる。 そう瞬時に理解ができた。 そして、この時に頭の処理速度が停止したらどんなに良かっただろうか。と何度も恨んだ。 「そう…分かった」 そう母に告げると俺は立ち上がりリビングを去った。 母はリビングを去る俺には何も声をかけなかった。 ただ、すすり泣く声は聞こえてきた。 しかし俺は振り返り慰め言葉を掛けることはなかった。 この時の胸中は例え父が別の家庭を持っていた所で何も自分には関係はない。干渉はされないだろうと思っていた。 だからそれほど俺自身はこの時は何も感じず ただ、 自身の父親がどうしようもないほどの最低な人間だという事を認識しただけだった。 でも実際は干渉どころではなく平和な生活は意図も簡単に崩壊していった。 その年の冬にとある飛行機の墜落事故が起こった。そのニュースは大々的に報じられ 搭乗客全員即死という悲惨な事故がニュースで日夜テレビで放送されていた。 その墜落した飛行機の中にには腹違いの弟 翼の母親が搭乗していた。 翼はあの日に最低な父親だけが肉親になった。 流石に責任を感じたのか父親は突然 翼を引き取り育てたいと俺と母親に打ち明けた時は流石に俺は笑いが止まらなかった。 失笑するほどの自分都合な考えしか持っていない愚かな人間だと再認識したからだ。
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