醜悪な事実

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父親から浮気をしている子どもを育てたいと打ち明けられたら母親はどれほど打ちひしがれるのだろうと考えていた。 それはきっと見るも絶えないほど憔悴するものだろうと。 しかし、母親は毅然とその提案をすんなり受けいれた。 例え夫が行った行動は目も当てられないほどの 過ちだろうが それと翼は関係ないと数年たった後に母親の口から語られた。 この時母親の中に1番にあった母性だったのかもしれない。 勿論俺は親になった事がないのでその感情は理解出来ない。 ただ俺自身が驚く程に母親はそれから 立派に俺と翼の両方に誠実に接していた。 この出来事がどちらの片方に 卑屈になる環境を作らせませいと考えていたらしい。 当時の俺はそんな母親の考えはつゆとも知らずに 徐々に卑屈な考えに蝕まれていった。そんな異常な精神を周囲の人間は一体どのくらい気がついている人はいたのだろうか? 恐らくそんな人間はいないに等しいのではないかと思う。 あぁ、どうしてこんな卑屈な考え方しかできないのだろうかと意識した時には 周囲には友達と呼べる人間なんて到底いるわけでもなく 教室の浮いた存在になっていた。いじめなどが起きているではなくただ周囲と当たり障りのない人間関係を築く事ができない 付き合いしか分からなくなっていた。
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