11 マリンの暴走

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11 マリンの暴走

 しばらく城下町を眺めていると、ふと、違和感ある家が目に留まった。 「なんだ、あの家ピンクだぞ!」  少し驚いたが、そういう個性の強い家があってもいい。きっと、中にはカメラが好きな夫婦が住んでいるのであろう。と思った矢先、その隣もピンクだぞと・・・さらにその先も。  マリンの仕業だな。それはそうだ自分に思い当たるフシがないのだから。  急いで階段を降りて、マリンの部屋のドアを開けた。  さらに驚いた。なんと部屋中ピンクだった。壁紙、タンス、パソコンまで。 「なにやってんだ!」変な間が空いてしまったが、そう言い放った。 「入らないでって言ったでしょ! 勝手に入ってこないでよ!」マリンは驚いた顔で言い返した。 「ピンクの家なんて却下だ、エロタウンにするつもりなのか? それに、この部屋はなんだ!」ここは言うべきことは言わないと。 「いいじゃないの、可愛いでしょ?」とんだポンコツだ。 「いいわけがない。ここは王の町なんだ、品位が大事なんだぞ!」 「そんな面白みのない町なんて、だれも幸せになれないよ!」  断固としてピンクは譲れないらしい。しばらく押し問答した挙げ句、追い出されてしまった。ガチャリと鍵がかかる音がした。  王としての立場も威厳も地に落ちた。そして頭に血が上った。  すかさず管理メニューを開くと、マリンの投稿を削除していった。これでピンクの家は次々と消える。  ちょっと強引だったかなと思いつつも窓の外を見ると、ピンクの家が復活しているではないか! さらに王の建てた家までピンクに変更されている。 「やりやがったな」頭の中でプチっと音がした。パワハラ確実であるがやり返すしかない。  その後、オセロのように陣取り合戦が続いた。世界創造は醜い争いによって頓挫した。
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