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14 町の名前を決める
100軒ほどしかない小さな町。今はそれだけだが、それぞれの家には自動生成された住民が住んでいる。それぞれの住民の生活がある。王としての責任の重さを感じた。
コンビニも数軒作ってある。当面は生活に不自由することはないであろう。
ゆっくり見て回った。何人か玄関先を掃除しているのを見かけた。ベランダに洗濯物を干している人もいた。マリンも興味深げに眺めている。
各家庭にはパソコンが置かれ、管理メニューにもアクセスできるが投稿はできない仕様だ。
この世界は人工太陽によって昼夜の区別はあるものの、気温は一定だし、雨も降らないので四季の感覚がない。これからどうなっていくのかも謎だ。
水道、電気といったライフラインは無限に供給されている。コンビニでは常に倉庫の品物が無くならないように自動で補充されているようだ。供給源は全く分からない。
「私達が作った町なのね。ふさわしい名前が必要よ」マリンは周りを見渡しながら言った。
「そうだな、ナロン町にしよう!」城下町だけに。
「なんだか頭痛が治りそうな名前ね」マリンは不服そう。苦い顔をしている。
「私はマリブーンを推すわ」賑やかそうな名前だ。悪くはないが、ここは王の威信にかけて譲れない。
しばらく静かにお互いの命名を批判し合った。
しかし、マリンは最終的には「あなたの決めること」と言って折れた。「次は私よ」と付け加えて。
かくして、なろ王国のナロン町が誕生した。
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