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15 ドライブしよう
町作りは順調に進んだ。1丁目から8丁目くらいまで完成した。小さな家と小さなコンビニだけの小さな町。
さすがに徒歩での移動は辛くなってきたので、一階の小さな車庫スペースに入るサイズの軽自動車を投稿した。
コロンと丸い見た目が可愛いとマリンは大満足している。色はブルーで動力源は電気。この世界にガソリンは存在しない。実にエコな町なのだ。
「運転は私に任せてよ!」マリンは得意げに言った。
気が短いところがあるので、少し心配だったが任せることにした。実は運転はしたことがない。
適度な間隔をおいて道路を作った。車がすれ違えるくらいの幅である。もちろん信号も作った。今は車は一台だけど。
市民は車を持っていない。まだ、行き先がない。コンビニに買い物に行くくらいだからだ。
午前中に投稿作業をして、お昼ごはんを食べてから巡回という名目のドライブに出かけるのが日課となった。
「王様! こんにちは」時々、市民が声をかけてくれる。
「私は女王ね、少しいい気分」マリンは町並みを見ながら言った。
話を聞いていると、自動生成された市民はここに来るまでの記憶がないようだ。しかし、生活する知識は持っているし、性格や個性もある。
家が小さく、それに合わせて作られたからなのか、夫婦ふたりだけの世帯が多い。若いカップルから老夫婦、もちろん一人暮らしの家も。子供は見かけない。
市民はあまり外に出てこない。それはそうだ、仕事もない、散歩くらいしか娯楽もないのだから。
このままでは全国民ひきこもり、なんてことになりかねない。小さな建物しか作れない以上は対応が難しい。なんとかしなくてはと思った。
少し走ると、すぐに国の端に出た。この先はプラスチックのような白い世界が広がるばかりだ。
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