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08 事件です!
眠りが浅かったせいか、スポーツドリンクを飲みすぎたのか、尿意を催してガバっと起きた。
部屋を出ると、下のリビング階に降りた。さすがにアニメ鑑賞会は終わっていて暗い。さらにトイレのある、一階に降りた。
ドアを開けると、フワッと甘い、いい匂いがした。寝ぼけ眼を見開くと、目の前に下着姿の加代の後ろ姿があった。焼き立てのパンのようにホカホカしている。肌がほんのりピンクに染まっている。
間違って隣の風呂場のドアを開けてしまったらしい。
加代は振りかえると、あっと息の飲み、驚愕の表情を浮かべ、ひと呼吸置いてから叫んだ。
「え! なに! 痴漢!」
「ご、誤解だ! トイレと間違ってしまったんだ」言い終わる前に、加代のパンチが飛んできた。みぞおちあたりにクリーンヒットした。そして、バタンとドアを閉められた。
大変なことをしてしまった!
ドア越しに何度も謝ったが、その倍、罵倒された。
翌朝、朝食を食べるために下に降りると、すでにダイニングテーブルに、加代とマリンが座っていた。なんとなく、気まずい空気を感じながら席についた。
加代はバタートーストに牛乳、マリンはいつものたまごサンドを食べていた。
「昨日はすまなかった。わざとじゃないんだ、本当にごめん」再びキチンと謝った。
「この世界にも変態がいるから、今度は刑務所が必要かもね」加代はトーストをかじりながら言った。
「罪は償わないとね、えろ王さん」マリンはこちらをチラリと見てから言った。すでに情報は共有されていた。
下着はつけていたし、触ったわけでもないのに、すっかり犯罪者扱いだ。
「今日は念願の縫製工場を作ろう! 加代頼んだぞ!」重い空気を吹き飛ばす勢いで言った。
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