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「雪姫!!雪姫!!」
雪姫を抱きかかえている青年―雷召は焦っていた。
雪姫はぐったりとして、腕の中で気を失っている。
ずっと探し求めていた存在だった。
だからこそ、腕の中にいる雪姫の様子に焦りを覚えた。
「雪姫!!……操火!!」
雷召は、自分の部下である男の名を呼んだ。
言葉に反応するように雷召の前にある砂が舞い始め、その中央に男が現れた。
「お呼びでしょうか。雷召様。」
雷召は、いきなり現れた男―操火に驚きもせず、そちらに目を向けた。
操火が顔を上げ、雷召が抱えている少女に目を留めた。
「……ひめ…ぎ…み…?」
操火は、茫然とした様子で呟いた。その顔は、今にも泣き出しそうな表情でこれ以上ないほど青ざめていた。
その様子を見て、雷召は頷いた。
「……ああ、雪姫だ。……とりあえず、体に異常がないか診てくれないか?俺が何度呼びかけても反応がないから…。」
その言葉に操火は、慌てて雪姫に近づいた。
「……大丈夫みたいです。暑さにやられたようで…普段ならこんな事ないはずですが…。……雷召様、なぜ姫君がこんな所に……。」
操火の言葉の先を察した雷召は、少し考え込んでから、
「……分からない。それは、雪姫が目を覚ましてから、直接聞くしかないだろう。…とにかく運ぶぞ。」
と言って、雪姫を抱き上げ、歩き出した。
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