お嬢様のお城のお話

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だが直接触りたくはないから手袋をしよう。 シブは、お嬢様を避けるように一歩引いた。 きっとお食べになるとでも思ったんだろう。 「え、お嬢、そういう性癖持ってるんすか」 「なに?この私がそういうの持ってちゃ悪いの?ねぇ、シブ?」 「いえ…そんなことはないっす。あははー」 「はい、よろしい」 二人の微笑ましいやり取りを片目にしつつ、 私は、その髪を切りに行った。 キッチンとは名ばかりの洗面台。 元々は歯ブラシを仕舞う場所にある梳き鋏(すきばさみ) 本来これはお嬢様の御髪(おぐし)を梳くために購入したもの。 だけど、こんな醜い髪には使いたくない。 その隣にある錆びた鋏を手に取る。 それで、一口サイズに刻む。 ざく ざっくり みしり 刃も錆びているから余計に音が出る。 まるで死体解剖でもしてるようだ。 だからといって興奮することもなく 食器棚から適度の大きさの皿を取り出す。 一口サイズに刻んだ髪を手袋を嵌めて載せていく。 できるだけ綺麗に見えるように。 お嬢様のこういった嗜好(しこう)は私が出逢った頃にはすでにあった。 人の身体が好き。
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