お嬢様のお城のお話

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はもう姉さんじゃないの。が姉さんなのよ」 あれとは、人形(おじょうさま)。 それとは、ラレル。 魂を抜き取りこれに宿した。 そして、その魂の元になった身体があれ。 姉さん? 「使えないなら自分に撃ちなさいな」 「えっ…な、なぜ」 「だってあなた『用無し』なんでしょう?幹」 『用無し』だとは自覚している。 だけれどまだお嬢様のお役に立ちたい。 今度こそは絶対に。 (ひざまず)いてお嬢様のご機嫌を伺う。 黒いレースのスカート。 そこから白い御御足(おみあし)。 綺麗だ。 綺麗という言葉ですらお嬢様の前では汚らしく思えてしまう。 底に散らばった髪の毛のように。 「ですが!」 「『ですが』なに?」 「今回、わたしは撃てませんでした。けど次は絶対」 「私、そういう言訳(いいわけ)する人、大っ嫌いなの。 この私に言訳が通じるのはあの人だけよ」 「………わたしは、あの方の代わりではなかったのですか」 「代わりですって?あの人の代わりなんか居るわけ無いでしょうが。 撃てないあなたはもう『用済み』」 ばりんっと心が割れた音がした。
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