お嬢様のお城のお話

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髪を食してしまう猟奇的なほど。 その中でも先程、仰った通り 『瞳』が一番のお好みらしい。 狂ったものを見るような目でこう漏らしていた。 『どんなに薄汚い人でも瞳だけは綺麗なのよ』 『瞳』は美しい。 それは私にも云われた。 いずれは私の『瞳』もお嬢様の口に(いざな)われるのだろうか。 興奮を抑えつつもの作業に取りかかる。 しかし、感触が妙にさらさらだ。 以前、お嬢様の髪をとかした時と似たような感触。 女性の髪はだいたいこういうものなのだろうか。 盛り付けられた皿を持っていく。 手を洗うのも忘れずに。 「お待たせしました。お嬢様」 「あら、こんなに綺麗にしてくれたのね。 こう見ると食べるのも勿体ないかしら」 お嬢様が一口サイズの髪の毛を何の抵抗もなく手で掴む。 さらに匂いを嗅いだ。 その匂いの元がなんなのか分かったように、 眼を細めて(いや)しむ。 私はお嬢様のその軽蔑されている瞳が好きだ。 忌み嫌い、 侮辱され、 悪し(ざま)にされる視線。 興奮せざるを得ない。 「ふーん、なるほどね。 このシャンプーはあの人の家にあるやつだわ。 まだ使ってたのね。相変わらず無頓着だこと。 じゃあそう美味しくもない、か」
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