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「ほら、あなたたちもやる」
お嬢様は、
私とシブに向かって軽蔑の眼差しをされた。
空気を読めていないのは私たちらしい。
ジト眼と言われるそれは、
シブにとっては恐怖だろうが
私にとって興奮する材料になってしまう。
お嬢様のご命令とあらば拒否権などはなく素直に従うのみ。
たとえ火の中、水の中、風の中、雷の中であっても構わない。
私の自戒だ。
「えーマジっすか」
「承知しました」
「はい、せーの」
「「「「怖いの怖いのとんでけー」」」」
4人のハモり。
音程も合ってなければ声量も合っていない。
そこが少しむずがゆい。
相対音感持ちの私としては若干気持ち悪い。
「もう怖いのは居なくなったわ。もう大丈夫、よかったわね、タケル」
「うん!」
「はい、私の顔見て。この顔はなんていうんだっけ?」
「えがお!うれしいときにするおかお」
「そう、私は嬉しいのよ、タケルが怖くなくなって」
「えへへへ」
お嬢様はタケル様の頭をもう一度撫でた。
でも、その手はさっきの醜い髪を握っていた手だ。
タケル様の頭上にカスが付いてしまっていた。
「お嬢様、タケル様の頭に」
「ん?あららら」
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