お嬢様のお城のお話

8/17

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
どうでも良さそうにさらっとはたいた。 手を洗おうともせず両手をパンパンと鳴らす。 それで完璧には落ちないのにと 思ってしまう私は几帳面過ぎるだろうか。 そしてお嬢様は、 真水のような透明の腕で 隣の部屋を指差した。 隣室にはタケル様の部屋。 ジョイントマットが敷いてあり、 お人形やプラレール等の子供遊び道具がたくさんある。 何度か入ったことがあるが私には全ての遊び道具が小さく見えた。 タケル様から見たらちょうどいい大きさなのだろう。 私ではなくシブの方を見る。 「シブはタケルを部屋に連れって遊んでてちょうだい」 「えぇー僕もママと行くー」 「よしよし、その気持ち受け取っておくわ。 私は(みき)と大切なお話をしなきゃいけないの。シブで遊んでやって?」 「えぇーこいつと」 タケル様はシブを見上げる。 その眼はお嬢様と似たもの。 めんどくさい。 うっとうしい。 そんな気疎(けうと)い視線。 だけど狂ったものを見るような『瞳』はしていない。 シブはタケル様を睨み付けた。 「おいこらガキ、年上に向かってこいつ言うな」 「ふぇっ…」 「もうシブったら、また泣かせて」 「お嬢、さっきはこいつが俺のこと」 「はいはい、皆まで云わない。分かったわ。 話が終わったら私たちもそっちに行くから」
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加