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「本当に…?ママ来てくれる?」
「ええ、約束するわ。はい、指切りしましょ」
軽蔑の眼差しから笑顔。
指切りげんまん嘘吐いたら針千本飲ます指切った。
字面だけだとこうも怖いとは。
「またねーママ」
「ええ、またね、タケル」
先程の狂ったものを見る笑顔で手を振る。
二人が出て行ったのを確認すると、
御御足を組んでいつもの蔑む眼に戻った。
一瞬にして場の空気が変わる。
しんとした空間。
その侮辱される眼を見ると私は興奮を覚える。
マゾなのだろうという自覚はある。
「さてと幹。状況を教えて」
シブやタケル様とお話されていた高い作った声ではなく、
私と初めて出会ったときのような低い素の声を、
彼岸花のような紅色の唇からおっしゃった。
私はこれまでの経緯を頭の中で整理しながら言葉を紡ぐ。
「シブと『目標』とが戦闘後
予定通り、シブが勝利を納めました。
その際、『目標』の髪を剥奪
しかし、そのショックでトラウマが甦りPTSDを発症し発狂。嗚咽と自傷行為を繰り返していました。
10分後、『目標』の同居人である彼に発見され緊急車両で市立病院へ搬送。『目標』は現在、607号室で治療入院。彼はその付き添いです」
お嬢様は説明をまるで分かっていたかのように、
興味なそうに返事をした。
いつも私に対してはこの態度。
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