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先生、種を撒いたのはあなたです
あたしはおじいちゃん先生が大好きだった。
バカなあたしが留年しないように、根気強く補修と追試を繰り返してくれるのは先生だけだ。元彼にフラれたときも、先生だけはこんなあたしをかわいそうにと慰めてくれる。
「顔はイイけど、バカすぎてムリだって」
「女の子は可愛いに越したことはないよ」
「あたし、かわいい? おじいちゃん先生から見ても」
「生徒はみんな可愛らしいね」
先生はあたしと違って頭がイイので、うっかり生徒に恋しちゃったりなんか絶対にしない。たぶん。あっそ、と不満タラタラでそっぽを向くあたしを眺めて笑うシワシワの目元に、どれだけの恋を募らせていても、バカなあたしには気づかれていないと思っている。
先生はバカだ。だからあたしは、おじいちゃん先生が大好きだった。
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