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目の色を変えてクッキーを口に運ぶ先輩たちは、まるで家畜みたいだ。
口の端からボロボロとクッキーの欠片をこぼしているのに、気が付いていない。
「あなたたちにはこっちね」
そう言って寮母が見せて来たのは、注射器だ。
一瞬にして血の気が引いていく。
逃げないといけないのに、恐怖で体がすくんで思うように動けない。
「ちょっと効果が強いけど、あなたたちにはピッタリよ?」
寮母さんはそう言い、最初に友樹に近づいた。
友樹は気配を感じて逃げようとしているが、ボロボロの体が上手く行かない。
「ほら、気持ちいいでしょう?」
寮母は容赦なく、友樹の腕に注射器を突き立てた。
「ああああああ!!」
友樹が雄たけびを上げてビクビクと体を痙攣させる。
まるで電気ショックに合っているような状態から、今度はグッタリと崩れ落ちた。
「あら? ちょっと効果が強すぎたかしら? でも大丈夫、脈はあるからね?」
寮母は友樹の手首で脈を計り、生死を確認してから亜沙美を見た。
「いや……来ないで!」
亜沙美は咄嗟に立ち上がって逃れようとする。
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