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耳をつんざくような悲鳴が聞こえてきて、寮母さんは注射器を取り落とした。
「クソガキが! よくも!!」
叫び声を上げながら両手を振り回す。
しかし、煮えた油は顔面にもかかったようで瞼が溶けて開かなくなったいた。
「行くぞ!」
真仁があたしの手握り直して立ち上がる。
「うん!」
これで助かることが出来る!
そう思って廊下へ出た瞬間、息を飲む光景が広がっていた。
廊下全部を埋め尽くすように女子生徒たちが立っているのだ。
あたしと真仁は足に急ブレーキをかけて止まるしかなかった。
このまま女子生徒の中に突っ込んで行ったら、拘束されてしまうだろう。
「ここから先には行かせられない」
そう言ったのは南だった。
「南……」
あたしは唖然として南を見つめた。
「みんなを助けてくれ!」
真仁が叫ぶが、誰も反応しなかった。
カヤ先輩が言っていた通り、あたしたち以外の全員が寮母さんの仲間になっているのだ。
「抵抗せずに大人しくいい子にしていればよかったのに」
真仁を見て、南は含み笑いを浮かべている。
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