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1年生も2年生も集まってきていて、人壁になっている。
これだけの人数を、真仁1人で食い止めることができるとは思えなかった。
「1人とも早くこっちへ来て? なにも殺すわけじゃないんだからさぁ」
南はそう言ってあたし達に手を差し伸べる。
殺されるわけじゃなくても、こんな洗脳状態になるなら死んだ方がマシだった。
未だにジリジリと近づいてくる南たちに見て、あたしは真仁に目配せをした。
真仁は小さく頷く。
次の瞬間、あたしは南の部屋に体を滑り込ませていた。
同時に真仁が自分の体を盾にするようにドアを閉めて立ちはだかった。
あたしは一瞬躊躇したが、ドアにしっかりと鍵をかける。
廊下から南たちの怒号と真仁の悲鳴が聞こえて来る。
「真仁……」
あたしは後ろ髪を引かれる気持ちで、窓から脱出したのだった……。
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