最後

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最後

早く! 早く誰かに伝えないと! 女子寮の庭を突っ切るようにあたしは走った。 コンビニまで走ったらすぐだ。 きっと大丈夫! そう思っていたのに……。 寮から出る寸前、目の前に人影が見えてあたしは足を止めていた。 仁王立ちをしているその人は……カヤ先輩だ……。 「本当に、悪い子ね」 カヤ先輩はヨダレを垂らしながらニタリと笑う。 その手には注射器が握りしめられていた。 「カヤ先輩……どうして……」 「まだ、お仕置きが必要だって言うからよ」 カヤ先輩はフラフラと左右に揺れながら近づいてくる。 その姿はまるでゾンビだ。 一瞬ひるんでしまったが、カヤ先輩1人ならどうにかなるかもしれない。 突き飛ばして脱出するのだ。 覚悟を決めてグッと握り拳を作った、その時だった。 カヤ先輩の後ろから複数の人影が現れてあたしは息を飲んでいた。 「なんで……」 そこに立っていたのは、男子生徒たちだったのだ。 みんな一様にヨダレを垂らし、目の焦点が合っていない。 あたしは数歩後ずさりをした。
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