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判明
シュウウウウ
俺の手には穴が空いていた。ビーズの大きさではなく、それよりも少し大きな穴だった。
「はあああっっ!?!?」
驚きすぎて、思わず大きい声を出してしまった。
「サファイアのように青い宝石は、人喰いの身体を食い破るというか、溶かすというか、ダメージを与えるんだよ。」
「君の体はやはり人喰いみたいだな。」
お姉さんはニヤリと微笑む。
「そんな乱暴な確認方法ある!?!?っっっつああああ!!あっつううううう!!!」
途端に焼かれるような痛みが襲ってきた。
「んがああああああ!!お姉さんこれどうにかなんないのおおお!!」
俺は痛すぎて右足で床をダンダン!と踏んだ
「人喰い達は自力で直してたぞ。私は倒し方は知っているが、
治し方は知らない。専門外だ。すまないな。」
お姉さん小さく両手をあげて降参ポーズをした
「ひぃぃぃぃぃ!!そんな無責任なああああ」
「君に覚悟があるように見えたから試したんだよ。大丈夫だ。人だって、腕くらいで死なない。」
「ん?お!おお!見ろ少年。どんどん傷が塞がっていく……!ちゃんと手を挙げて見せろっ。」
もずくのような細胞がフワフワうねうねミチミチと、折り重なって、傷が癒えていく。が、ソーマは痛すぎて机に顔を埋めている。
「ああああああああいっってええええ!!!ん、あれ、痛くなくなった。」
手の穴が完全に治った。
「間近で人喰いの再生を見た。これは凄いぞ。」
お姉さんは嬉しそうに、カキカキとメモを描き始めた。
もしかしてこの人、この再生が見たかっただけなのでは……??
「お姉さん、次からはやめてくださいね。」
「……ええ?」
「ええ?じゃないですよ!!やる予定だったの!?!?絶対にやめてください!」
「ちょっとだけならいいでは無いか?」
「ダメですよ!」
「じゃあ小指の切断はどうだ?」
「それはもっとダメ!!!!」
はあ。ソーマはため息をついた。
「てか俺。やっぱり人喰いだったんだね。」
「ああ……そうみたいだな。」
ソーマは穴が治った手を見て思いにふけった。
もしかしたら表情が曇っていたかもしれない。
その様子をメモを書きながらも、ちらりとお姉さんは見た。
「……まあ。なんだ。私が3日間見張っていたが、君は人を食っていない。そしてそれはこれからも、だ。そうだろう?」
「ああ、もちろん食いたくない。」
「そうだ。そうなると……君はこれから一生人喰いとは呼べないな?」
「…………!!
……あっはは。ありがとうございます。お姉さん。」
お姉さん、俺のために気いつかってくれたんだな
「気にするな。元気を出せ。ソーマ。きっと、人喰いのボスなら、君のその体治せるかもしれないぞ。」
「……そっすね!そうですよね!!」
「あ、そういえば!お姉さん。名前は?」
「ん?そうか。まだ私は名乗っていなかったな。済まない。」
「私の名前は、須奈美ハルだよろしくな。少年。人体実験は私に任せろ!」
ハルさんはそう言って自信満々に胸をぽんと叩いた。
「いやだから実験はしないってば!!!」
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