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ツンデレ
「ていうか制服ブレザーなんだね。かっこいいね。」
「そうですね。」
「その背中の剣と盾かっこいいね。」
「そうですね。」
「他の1年はどんな感じの人がいるの?」
「そうですね。」
「……他に男がいると嬉しいんだけど。」
「そうですね。」
「……」
ユウの心の開き具合がイマイチ分からねえ……!!
さっきのドリンクパシリは多分冗談なんだろう。
でも、その後はなんか、「そうですね。」とか「そうですね。」とかしか言わねええ!!
どうゆう事だ!!そうですねって!!!
(おれぁタモさんか……!?)
ソーマがそう考えていると、ツンツン頭のゆうが止まった。
「ん?どうしたの。」
「ここが大浴場です。」
「……ん?」
目の前にあるのは1階の男子トイレ。
……の上に大浴場とは書いてあるが、ほぼ男子トイレ。
「……トイレじゃないの?」
というか校内に大浴場なんてあるとは思えない。
「とりあえずついて来てください。」
そう言って、床にソーダを置くと、ゆうは男子トイレに入っていった。
ソーマがひょこっと中を覗いてみると、トイレは途中で階段になっており、地下へと続いていた。
そこをユウは下へと降りていく。
「おお!!おもしれえええ!!」
ソーマもコーラを置いて勢いよく階段をドドドとかけ降りた。
階段の途中でムアッとした熱風に身体が煽られた。
一番下に来ると本当に銭湯のように脱衣場があって、大浴場があった。
「ええ!!すごい!なにこれ!?温泉!?」
「こんな所に温泉は湧かないですよ。ただの沸かしたお湯です。」
「へぇ!でもすんごい気持ちよさそうだな!実際どうなの!?気持ちいの!?」
「…………」
「ユウさ、入ったことあんでしょ?」
ソーマがそう聞くと、ユウは顎に手を置き考え始めた。
「…………」
「…………うん」
そしてソーマを風呂に向かって押し始める。
「あれ、ちょっと、ユウくん?なんで俺押されてるの??」
「……いや、湯加減が気になったんですよね?だから入れてあげようと思って。ソーマさんの為に」
「え??ちょっとちょっと、やめて?服きてるし。」
「どうせ明日くらいから入るでしょ。今入っても変わらないですよ。肌でお湯を体感しましょうよ。さあさあ」グイグイ
「いや??やめて!!そうゆう問題じゃ無いから!やめて!服ずぶ濡れなっちゃうか!」
「さあさあ!!さあさあさあ!!」
そしてソーマは命からがら大浴場から逃げ出した。
「はあはあはあはあ」
暑かったから、コーラが美味い。
こいつもしかしてめっちゃ意地悪なんじゃねえか!?!?
なんか顔がめっちゃ楽しそう!?
爽やかで、イキイキしている……!仕事したなあ!みたいな顔すんなよ!!!
「何男2人汗だくでハアハアイチャついてるの。今風呂はいったんじゃないの?」
女性の声がした。声の方を見ると、
金髪ツインテールの小柄な女の子がいた。
「ってかそいつ誰よ。」
ソーマの方を見ながら彼女はそう言った。
「あ、俺。転校生の 葉野 そうま って言います!1年生だけど、君は?」
「え、転校生……?」
女の子は驚いた顔をしていた。やはり何も聞かされてないらしい。
「立花。それまじ?」
「マジ。」
ゆうは頷いた。
「何それ、今日からこいつも私たちと同じ殲滅隊の1年なわけ?まだ理解出来てないんだけど。」
「……えっとぉ。それで君の名前は?」
ソーマが聞くと、代わりに、ゆうが答えた
「こいつはツンデレです。」
「なっっ!!」
女の子の顔がカァーッと赤くなった。
ソーマはキョトンとしながらも、聞く。
「え、ツンデレって、あのツンデレ??」
「立花!!またお前ふざけたことを!!」
「だって本当のことだし。」
ゆうはぼーっとサイダーを飲んでいた。
「はあああ??!!いつ!私が!ツンツンデレデレしたって言うのよ!」
「あー!!でも確かに、ツンデレっぽいかもね!!ハハハ!」
ソーマがアハハと笑った。
「アハハじゃないわよ!!!」
身長の低い女の子はプンスカプンプン怒った。
それを見てユウが指を指しながら、ちょっと嬉しそうに言う
「ほらこれがそうですよ、怒ってるでしょ。ツンデレ。かわいいね」
「ほぉ。これがツンデレって言うのかぁ。本物は初めて見たな。でもなんか思ってたのと違うよなあ。」
ソーマは目を細くして、ツンデレをマジマジと観察しだした。
少女はついにカチンと来てしまった。
「あ、もう怒った。すごい頭にきた。本当は必殺技の実験台を立花にお願いしようかと思ったんだけど、やっぱりこの生意気な新人にするわ!」
限界が来た女の子は、急にソーマの手を引っ張って運動場へ向かう。
「あ、ちょっと!!どこに連れて行くの!」
ソーマはされるがまま、引っ張られて行った。
それを見てまたユウは嬉しく思った。
「手握ってますね。やっぱりツンデレだ。」
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