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本音は言わない
「伏せろっっ!!」
そう言われて、肩を地面に向かって押されて、
反射的にしゃがんだ。
「アンブレラ!!!」
グィンと機械音に似たような音がすると、
ズガガガガ!!と宝石が何かに防がれた。
何事かと思ってソーマが上を見ると、
ゆうが何か傘のようなものをさしていた。
なんと、ゆうが助けに来てくれたのだ。
「ゆ、ゆう〜〜」
俺は生きてたのが嬉しくて、泣きそうになった。
「うわ、気持ち悪い顔だな。ソーマさん、整形行きますか?」
「そこまでいう?」
めちゃくちゃ感謝してて、かっこいいと思ったのに、ちょっと惚れそうにもなったのに。
そこまで言う??
大きな傘のようなやつは、ゆうが持ってた盾だった。伸縮自在なんだ。
またガチャガチャ言って、小さくなった。
「ななさん。鍛えてもいない一般人並のやつに石ぶん投げるとか、新人いじめじゃないですか。
マジパネェっす。俺ら不良の鏡っす。まじ痺れます。」
少女はギクッとして焦った。
「え、いや、だっていつも立花にやってるから、こいつも大丈夫かと思って……」
「俺は盾があるからでしょ」
「あ!そっか!」
「あれ普通に当たったら頭から血が出ますよ。」
この女の子、結構アホの子かもな、、ソーマはそう思った。
「あ!じゃ、今からこのサファイアの回収手伝ってよ!それは別にいじめでもないでしょ?おねがいね!」
俺たちはその言葉を聞いて、無数に散らばったサファイアを見た。
「「…………」」
そして無言ですっと立ち上がる
「ごめん。ハル先生がそろそろ帰るかもしれないから帰る」
「ごめん。ちょっとなんか背中痒いから帰ります。」
そして一斉に後ろを向いて走り出す。
「おおおおい!!1人の理由はまだしも、立花お前ぇぇええええ!!!!」
「……」
そして誰もいなくなった。
日は完全に落ち、大量に散らばるサファイアと、ひとりきりの私。
「いいもん。私一人でやるもん。」
少女は一人暗い中、宝石を集め始めた。
「おーーーい!!」
3分後、聞き覚えのある声がした。なんとあのソーマという男が戻ってきたのだ。
「ハルさんまだ帰んないみたいだから、俺、手伝うよ。ほらこれ、ランタン借りてきた。袋も。」
「……」
ソーマは女の子の目の下が赤いのに気がついた。
「なんだお前、泣いてたのか?」
「別に寂しくて泣いてなんかない!これは……汗よ汗!!」
「……そーかいそーかい。さ、さっさと集めて帰ろ!」
「……てかなんであんた、手袋してるのよ。」
ソーマは白い手袋をしていた。
「ん?あーー……」
困ったソーマは頭をポリポリとかいた。
「ん、俺ね、宝石アレルギーなの。」
「はあ?なのに殲滅隊にきたの?バカみたい。」
「おれだって強くなって人喰い倒してーんだよ。」
「……そっか、」
「そーだ。」
ソーマはそう言いながら、青い宝石を集める。
少女はしばらく無言だったが、口を開く
「だからあなたさっきはあんなに怯えていたのね。それなのに……私気づかなくて。ごめんなさい。」
「……??」
見ると、少女は手を止めて、申し訳なさそうに下を向いていた。
「別にいーよっ!それよりさ。」
「……なによ。」
「さっきゆうが言ってた、ななって名前!可愛いな!」
ソーマは笑顔でそう言った。
「………………」
「キモ。」
「え!?褒めただけなのに!?」
ソーマはガーンとショックを受けた。
純粋に褒めただけなのに、キモイと言われるなんて思っても見なかったからだ。
「あなたモテないでしょ。」
その姿を見てナナは、ふふっ。と微笑むのであった。
そして数分後、ななはこっそり手伝いに来たユウに後ろから驚かされるのであった。
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