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この学園には生徒会の他に大きな権力を持つ委員会がある。
学園の治安維持を目的としたその委員会の名は風紀委員会であり、主に校内の見回り、服装の検査、親衛隊の問題ごとの対処など仕事は多岐にわたり、生徒の謹慎や停学の判断も任されている。
そんな風紀委員会の風紀室の扉の前に俺は立っていた。
まだ早朝といえる時間帯だが俺は生徒会室で残りの書類を処理し、風紀に提出する書類を持ってココに来ていた。
そしてかれこれ十分ぐらい扉の前で立ち尽くしている。
いや、これには理由がある。
考えてみろ。俺は最近まで仕事を放棄していたんだ。
罪悪感や後ろめたさもあって二の足を踏むのは当然だ。
……それに転校生関連で何度か風紀に注意を受けたことがある。
太陽が親衛隊と衝突したり備品を壊したり。
乱れる治安。風紀の仕事は太陽が来てから増えたことだろう。
しかし俺たちはそんな太陽をかばっていたからさらに荒れる負のスパイラル。
俺が風紀だったら、ふざけんなと言っていただろう。
しかもそんな風紀には俺がさらに気まずく思う相手が一人いる。
小中高一貫であるこの学園で小学生の頃からつるんでいる親友が一人。
他人にも自分にも厳しい真面目なアイツにどんな顔をして会えば良いのかほとほと困っていた。
「う~~ん、やっぱ怒ってるよなー。……今までごめんなさい? それともおまえの気が済むまで殴ってくれ? でもアイツ意外と強いからな……。 シャレになんねーわ」
俺はウンウン唸りながら腕を組んで扉をにらみつけていた。
「ええ~~いっ!! 男は度胸ッッ!!」
そう意気込んでドアノブに手をかけた瞬間
――バンッッ!!!!
「――グッ!!?」
「誰だ、さっきからウンウンと! うるさいぞっ!」
扉が勢いよく開きドアの前にいた俺は顔を盛大にぶつけ、痛みが走る鼻を押さえて廊下にうずくまった。
「――っ!? すまない! 大丈夫か!?」
慌てた声で俺に話しかけるやつを鼻を押さえながら涙がにじんだ目で見上げると、そこには俺を見てみるみる目を見開く風紀委員長がいた。
「……せいや?」
「よお……」
どこか呆然とした様子で大神 蓮こと我が親友が俺の名をつぶやいた。
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