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ガチャ、バタンッ。
ふ〜、なんとか乗り切れた。
生徒会室に戻ってきた途端、俺は脱力したようにソファーに沈みこんだ。
知らず知らずのうちに緊張していたようだ。蓮には迷惑をかけた自覚がある分叱責も覚悟で行ったが、まさかあそこまで喜ぶとは思わなかった。
あんな心底安心した風に言われて、俺が思ったより蓮には心配をかけていたようだ。
うう、罪悪感が……。
俺がソファーで呻いていると、生徒会室のドアがコンコンと叩かれた。
「――!! ああ、入っていいぞ」
ドアが開き、おそるおそるこちらを伺うように三間が入ってきた。
少し強ばっていた表情が俺を認識した途端、フニャリと緩んで、
「か、かいちょう~、」
と言って抱きついてきた。
「お、おいっ!」
「う~、夢じゃなかった~!」
半泣きでそう言った三間に俺は動揺した。
聞くと、どうやら保健室でのやりとりは夢ではないかと疑ってたらしい。
疲れすぎて自分の願望を見たのではないかと思って、生徒会室に来るのが不安だったようだ。
俺は三間を安心させるようにポンポンと背中を叩いて、緩く抱きしめた。
「ほらっ、そろそろ泣きやめ。俺はちゃんといるから」
「……ぐすっ、うん」
顔を上げた三間は、涙で濡れた瞳で安堵の声を滲ませ、ふわりと笑った。
――!!
……コイツ、こんなに可愛かったけ……?
笑った三間は儚げでとてもキレイだった。
幻覚なのか周りにキラキラしたものが舞っているように感じる。
そもそも、こんなに三間が泣き虫だとは思わなかった。いつも、ゆる~く適当な印象しかなかったが仕事を一人でこなしてたといい、ギャップがスゴい。
「かいちょう~? どうしたの?」
不思議そうにまだ潤んでいる瞳で見上げられた俺は、顔が熱くなるのをなんとか誤魔化して三間に何でもないと返した。
これは、アレだ。そう、意外な一面を見て驚いたんだ。うん、それだけだ、それしかない。
俺はノンケだーー!!
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