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小説「自分探しの旅」
東京のある若者が、インドに自分探しの旅に出た。
初めての海外。バックパックを背負った一人旅で、彼は東京を離れ、自分を見つめ直す旅をしたかったのだ。
日程はまずデリーに行き、バラナシ、コルカタなどを巡る旅だった。
デリーのインディラ・ガンジー国際空港に降り立ち、ゲートを出たときのことだった。鏡を見たかのように自分そっくりな青年がいるのを、若者は見た。
自分そっくりの青年が、バックパックを背負って、ゲート前に立っている。若者を見つけると、青年は近寄ってきて、声をかけてきた。
「よう、待っていたよ。俺はお前だよ」
「ええっ 自分が見つかるのが早すぎるんだけど」
ドッペルゲンガーのように、自分自身が目の前にいるのを見て、若者は驚いた。
「いや、ちょっと待ってくれ。目的は達したけど、俺はまだ帰らない。まだ旅は始まったばかりだし」
若者はもうひとりの自分を連れて、一緒に旅をすることにした。幸い、相手も一人旅。二人に増えた若者は、インド旅を続けた。
そうして旅を続けるうちに、若者はさらに自分そっくりな男を見つけていった。
デリーには三人。
バラナシには四人。
コルカタには五人いた。
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