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松下は顔いっぱいに勝利の笑い。スマホを持ったままふんぞり返っている。
「学校にR18の同人誌を持ち込み、スマホにはR18の動画をダウンロード。
これが上杉の停学は間違いありません。
生徒会長!いかがでしょうか?我々の作戦?」
「学校の敵!日本の敵!全世界の敵!
優等生の仮面をかぶった憎むべき変質者を追放し、これで明るい学校、明るい日本が生まれる。
今こそ全世界が喜びに包まれる」
ええっ!
ぼっちの悠馬はそれほどの大物だったのか!
それにしてもアメリカや中国の人は、上杉悠馬なんて知らないと思うのだが・・・
「みんなのお陰!ありがとう。
上杉が処分されたら、三分間、私のスクールシューズを思いっきり舐めさせてあげる。
上杉が退学処分になるか自主退学した場合は、使い古した私のスクールシューズやハイソックス、歯ブラシとかプレゼントするから!
もちろん美景グループのクーポン券も付ける!」
「ええーーっ!
そ、そんな貴重なものを我々に!
ああ、神よ。
我々は何という幸せな星の下に生まれたのでしょうか!」
「次の目標!
早く私と『三十分デート』できるよう頑張りなさい」
松下は感動に涙を浮かべ、スマホに向って大きく頭を下げる。
「ハハハーッ!ありがとうございます」
生徒会長との通話が終わる。
感動に震える松下。
悲しそうな表情の浜島君が小声で声をかけてくる。
「あの……。オレの処分は撤回してくれるんですよね」
「知るか!落ちこぼれのゴミ。さっさと消えろ!」
一瞬で態度が一変!
「それじゃあ約束が・・・
上杉について知っていることなら全部話したじゃないですか!
スマホのダウンロードのことだって……」
「コミケでR18の同人誌を買い漁るクズなどと約束する義務はない。
お前など学校からいなくなった方が名門、高蔵高校のためになる。
処分が下るのを待ってろ」
松下はそう言って、浜島君の前から消えた。
浜島君、唖然呆然!
利用されていたと分かったって、もう遅いのだ。これが裏切りの報酬なのだ。
また立ち直れない表情で、ガックリとその場に立ち尽くす。
「上杉!
退学になってもオレを恨まないでくれ。
恨んでオレに無言電話かけてこないでくれ。
上杉!
将来、ホームレスになって食べ物がなくて困っても、頼むからオレの家を訪ねてこないでくれ」
浜島君はその場にひざまずき、天を仰いで慟哭するのだった。
数少ない友人に裏切られ、悠馬に退学の危機が迫る。
果たして悠馬の運命は?
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