浜島君の突然の出現について!

2/2
前へ
/133ページ
次へ
 松下は顔いっぱいに勝利の笑い。スマホを持ったままふんぞり返っている。 「学校にR18の同人誌を持ち込み、スマホにはR18の動画をダウンロード。  これが上杉の停学は間違いありません。  生徒会長!いかがでしょうか?我々の作戦?」  「学校の敵!日本の敵!全世界の敵!  優等生の仮面をかぶった憎むべき変質者を追放し、これで明るい学校、明るい日本が生まれる。  今こそ全世界が喜びに包まれる」  ええっ!  ぼっちの悠馬はそれほどの大物だったのか!  それにしてもアメリカや中国の人は、上杉悠馬なんて知らないと思うのだが・・・ 「みんなのお陰!ありがとう。  上杉が処分されたら、三分間、私のスクールシューズを思いっきり舐めさせてあげる。  上杉が退学処分になるか自主退学した場合は、使い古した私のスクールシューズやハイソックス、歯ブラシとかプレゼントするから!  もちろん美景グループのクーポン券も付ける!」 「ええーーっ!  そ、そんな貴重なものを我々に!  ああ、神よ。  我々は何という幸せな星の下に生まれたのでしょうか!」 「次の目標!  早く私と『三十分デート』できるよう頑張りなさい」  松下は感動に涙を浮かべ、スマホに向って大きく頭を下げる。  「ハハハーッ!ありがとうございます」  生徒会長との通話が終わる。  感動に震える松下。  悲しそうな表情の浜島君が小声で声をかけてくる。 「あの……。オレの処分は撤回してくれるんですよね」 「知るか!落ちこぼれのゴミ。さっさと消えろ!」  一瞬で態度が一変! 「それじゃあ約束が・・・  上杉について知っていることなら全部話したじゃないですか!  スマホのダウンロードのことだって……」 「コミケでR18の同人誌を買い漁るクズなどと約束する義務はない。  お前など学校からいなくなった方が名門、高蔵高校のためになる。  処分が下るのを待ってろ」    松下はそう言って、浜島君の前から消えた。  浜島君、唖然呆然!  利用されていたと分かったって、もう遅いのだ。これが裏切りの報酬なのだ。  また立ち直れない表情で、ガックリとその場に立ち尽くす。 「上杉!  退学になってもオレを恨まないでくれ。  恨んでオレに無言電話かけてこないでくれ。  上杉!  将来、ホームレスになって食べ物がなくて困っても、頼むからオレの家を訪ねてこないでくれ」  浜島君はその場にひざまずき、天を仰いで慟哭するのだった。  数少ない友人に裏切られ、悠馬に退学の危機が迫る。  果たして悠馬の運命は?    
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加