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上杉悠馬の忙しい夜について！
高蔵高校二年特進クラス。
成績は学年三位。
上杉悠馬の部屋は一晩中明るい。
勉強机に向かったらただひたすら勉強、勉強！
予習復習！定期テストの準備！
そして国際数学アカデミーが発行している数学の問題集への挑戦！
参考書や問題集に全力集中。
眼鏡をかけた悠馬の表情は、勉強に燃え、勉強しか頭にない優等生そのもの。
そのとき、スマホに母親からのメッセージ。
＜お父さんのお墓参りのことありがとう。
国際数学学会での論文発表がまにあわなくて帰れない｡ごめんなさい。
もうすぐ星空さんの命日。きっと悠馬お墓参りに行くだろうね。
前にも言ったけど、国際数学アカデミー日本校は推薦をめざして欲しい。
一般入学は本当に難しいから。
パリから、悠馬の勉強が進むこと祈っています＞
悠馬は机の上に目を向ける。
写真スタンドにショートカットの少女の笑顔。
いつも悠馬を見て同じ笑顔を向けてくる。
だけど何も話しかけてはくれない。
スマホの壁紙も同じショートカットの少女の写真。
悠馬はスマホを手に、一日に何度も何度も一年前、自分が送ったメッセージを読み返す。
一字一句、全部覚えているのに・・・
＜先輩！
僕、必ず国際数学アカデミーに入ります。
だから入学式には一緒に来てください＞
読む度に涙が浮かぶ。
幼馴染の星空サキ先輩が最後に読んだ悠馬からのメッセージ。
先輩はスマホを手にしたまま眠るように天国へ行った。
そう先輩のお母さんから聞いていた｡
上杉悠馬の部屋は一晩中明るい。
夜明けが近い時間。
PCに向ってただひたすらコーフンの連続。
R18の会員制サイトをいくつも見て回る！
サイトのジャンルはみんな「JK」！
PCの名義上の所有者。
母親の名前を使ってアクセス、閲覧、ダウンロード。
悠馬の夜はまだ終わらない。
「リアルに充実！リアルに充実！」
悠馬の目は輝いている。
悠馬のイチオシは、某サイトで公開する女子高生の隠し撮りの動画！
顏にボカシがかかってないってのが宣伝文句。
女子高生時代を十年、二十年、三十年前に終わった人たちを撮したインチキ動画とは全然違う。
ホンモノの女子高生ならではの超迫力。
「いいなあ。やっぱり一晩一回。このサイト見なきゃ明日が迎えられない」
悠馬は腕時計を見る。
「まだ時間ある。
何しようか？
ゲーム！それともAV！
そうだ。コミケの同人誌、まだ読んでないのがあった！」
少しだけ眠る？
そんなの選択外。
R18の「JK」物を、思う存分楽しまなきゃ、明日頑張るなんて絶対できない。
悠馬の夜はまだ終わらない。
そして机の上。
写真スタンドのショートカットの少女､星空サキの写真はというと……｡
上から白のハンカチが丁寧にかぶせてあった。
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