第一章 一話 「殻」

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 僕はその大学の修士課程1年目で、話し相手のこの男性は、この界隈では知らぬ人のいない権威、「風見雪彦」教授だ。  無論、僕と風見教授は、学生とその指導教授の関係であるが、ただそれだけではない。  僕と風見教授は、僕が大学に入る2年前、7年ほど前からの知り合いである。 そして、大学内で公にはされていない、この目の前にある「殻」の開発を密かに進める間柄である。  はじめにこの「殻」の開発を提案してきたのは風見教授の方からだった。 そう、僕の記憶の中にいる『風見葵』を蘇らせることを目的としたこの研究を。
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