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風見葵は、僕が高校に入学してすぐにできた、人生初めての彼女だった。
小柄で色白、少し病弱に見える細身の体は、強く抱きしめれば簡単に折れてしまいそうで、それが僕にはとても愛おしかった。
まだ彼女と出会ってからは3ヶ月程だったが、高校生にとっての3ヶ月は、大学院生となった今でいうところの1年ほどの価値があると思う。
この3ヶ月間で、僕は出会った頃よりも彼女のことがより一層好きになり、より大切な存在となっていた。
彼女が話している犯人とは、最近この閑静な街で起きている連続女子高生殺人事件の犯人のことである。
わずか1ヶ月ほどで3人の女子高生が犠牲になっており、この時期のワイドショーを賑わす大事件となっていた。
僕の家の近くでも、テレビ局の取材班や週刊誌の記者らしき人たちが、近所の人たちにインタビューをしているのを見たのをよく覚えている。
その姿は被害者たちを本当に悼んでいるというよりも、どこか面白いネタを見つけて勇んでいるようにも見えた。
幸い僕らの学校では、まだ被害者は出てはいないが、クラスの女子生徒の中には怯えて、不登校になってしまった子もいた。
こんな凶悪な事件が起きているのだから当然のことで、毎日怯えながら生活することのストレスは計り知れないものだったのだろう。
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