第二話 「過去」

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 その日の夜、地域ニュースの速報が、僕のスマホに鳴り響いた。 僕はスマホゲームに夢中になっていたから、急なサイレンにドキッとして、一人自室のベッドの上で変な声を出してしまった。 スマホ画面の上部に出てきたバーをタッチして、その速報を覗いてみた。 また例の事件かな。嫌な予感がした。 画面を見る。 「○○地区で、二十代男性が刃物で刺され路上で死亡しているのを発見。」  僕はホッとした。 いや、一人の人間が亡くなったのだ。 しかも恐らく他殺。 こんな感情を持ったら失礼極まりないのは承知している。 だが、また例の連続殺人の被害者が出てしまったのかと思っていたので、僕はホッと胸を撫で下ろした。  それからすぐに先ほどまでやっていたスマホゲームを再開した。 再開と同時に、敵のボスに一撃でやられてしまった。 ああ、またやられた。ついてないな。  
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