お付き添い人

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お付き添い人                      刈谷二郎、刈谷葬業の専務である。 その会社は、冠婚葬祭を受け持ち、社員十五名の小さな会社だ。 ここでは、普通の葬儀屋ではやらないあることをやっていた。 それは「お付き添い」という仕事である。 この仕事は役所からの要請でやっているのだ。 お付き添いとは刈谷が名付けた立派な葬儀である。 人は誰でも死ぬ、大勢の人に見送られる死もあれば、 寂しく一人で死んでいく孤独死、この孤独死をした者は、 まれに自分が死んでいるのが分からないで この世をさまよい続け旅立つことができない人がいるのだ。 そうならないようにお付き添い人が付いて無事に 旅立たせてあげることを仕事としている。 いわばあの世への案内人である。 相変わらず孤独死する人が後を絶たない。 お付き添い人には、何時でもどんな時でも 仕事が入ったら来なくてはいけないのだ。 付き添われる人の事を付き添い人達は、 旅立ち人「たびだちにん」と呼んでいる
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