新たな発見

20/45
78人が本棚に入れています
本棚に追加
/480ページ
テレビをつけ、キャッキャとはしゃぐ香夜。 その横でお茶を飲むお父さん。 台所で夕飯の準備をするお母さん。 当たり前だったその光景は、とても大切な時間だったと気付かされる。 「あら!」 台所からお母さんの声が聞こえ、少し胸騒ぎがする。 「どうした?」「どしたのー?」 お父さんと香夜がお母さんに声を掛ける。 「やだー、私ったら…お醤油を切らしているわ」 ドクンドクンと波打つ心臓。 「俺が買ってこよう」 そう言い立ち上がるお父さんに 「他にも欲しいものがあるから私が行くわ」 とお母さんが言う 「香夜もついてくー!」 香夜はニコニコとしながら自分の上着を手に持つ。 「もうすぐ暗くなるし、外は寒いから車に乗っていくか?」 お父さんの言葉に香夜が反応する。 「車やだー!新しい靴でいっぱい歩くのー!」 そう言うと綺麗な箱に入った靴を取り出し、えへへー!と笑う。 俺は知っている、この会話も、光景も。
/480ページ

最初のコメントを投稿しよう!