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嘘つきその④
エリーはアパートに戻ると、部屋着に着替えて
夕食の準備にとりかかりました。
お菓子を作ることが大好きでしたが、
お料理も大好きなエリーは、パティシエになるか
シェフになるかで悩むほどでした。
…というのは軽い嘘ですが、それほどどちらも
大好きでした。
すると、玄関のチャイムが鳴りました。
ドアスコープを覗くと、下の階に住む
タキおばあちゃんが鍋を持って立っていました。
「タキさん、こんにちは」
「エリーちゃん、こんにちは」
「どうしましたか?」
「肉じゃが、作り過ぎてしまってね。
少しもらってくれないかの?」
「まあ、いい匂い…!喜んで」
実は昨日エリーも肉じゃがを作り、冷蔵庫に
その残りがあったのですが…。
エリーは食べたかったんです、と嘘をついて
タキおばあちゃんから肉じゃがを
もらうことにしました。
「ああ、良かった。1人じゃあこんなに
食べきれなくて。ありがとね、エリーちゃん」
「とんでもない!ごちそうさま、タキさん。
後でお鍋は返しに行きますね」
タキおばあちゃんからお鍋を受け取り、
エリーは笑顔でタキおばあちゃんを見送りました。
「さてと…どうしましょう?」
たくさんの肉じゃがを前に、エリーは少し
考えていました。
「そうだ…!」
あることを思いついたエリーは
肉じゃがを使って料理を作ることにしました。
出来上がったのは…。
エリーはそのお料理を持って、
お隣のあかりちゃんの部屋のチャイムを
鳴らしました。
「エリー?どうしたの?」
「タキさんからもらった肉じゃがで作ってみたの。
良かったらおかあさんと食べて、あかりちゃん」
「あ!コロッケだ!!」
「中に肉じゃがが入ってるの。美味しいわよ」
「ありがとう!エリー」
「どういたしまして」
それから、エリーはタキおばあちゃんのお鍋と
肉じゃがコロッケを持って、タキおばあちゃんの
お部屋に行きました。
「タキさんの肉じゃががあまりに美味しくて、
こんなモノを作ってしまいました。良かったら
食べてもらえますか?」
「美味しいそうなコロッケだね。ありがとう、
エリーちゃん」
「お鍋もありがとうございました」
中身の肉じゃがはエリーが作ったものでしたが…
こんな小さな嘘も、エリーの得意技でした。
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