1章-1

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 結花がコーヒーを一口つけた瞬間、野田に向けてコーヒーをかける。 「苦いんだけど! 私、いつもお砂糖二つって言ってるよね? お砂糖一つも満足に入れられないの?! バカなの?! あんたの頭お飾りなんじゃない?!」  キャンキャン吠えるように喚く結花。 「……申し訳ございません。ただ今作り直しますので」  熱いのを堪えながらコメツキバッタのように、申し訳ございませんと何回も繰り返す。 「一番上の棚にあるコーヒーいれて。粗相したらコーヒーまたぶっかけるから。あとこぼしたコーヒーの掃除して」 「……はい、ただ今」  野田は何も言い返さず、結花言う事を聞いてコーヒーを淹れ直した。  一番上のを取り出すのも、野田の腰が悪いことを分かってて言っている。 「あー、ムカつく。野田は役立たずだし、つまんないわ」 「結花ちゃんかわいそうに」  隣で周子がヨシヨシと結花を宥める。  野田はかわいそうなのは、おたくのお嬢様の頭だといつもいいそうになる。必死に唇噛み締めて、言われた通りにする。本当は泣きたい所だが、また結花から追い詰められるようなことを言われるだけだ。  陰険なお嬢様だと思いつつ、無理矢理笑顔を作って、結花にコーヒーを渡す。すぐに持ち場へ戻った。
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