木は実によって知られる-26

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「あ、病院とかないから、死んだらそれまでだからね。毎日誰かしらここの施設で死んでるから」  施設――暁水館の本当の過酷さはこれからだった。  近隣住民から変なにおいがすると暁警察へ通報があった。  暁水館の中を調べると、例のビニールハウスから大麻栽培していることが分かった。  主犯として館長の洲本、彼の妻、兄弟が捕まった。  そこから芋づる式で、暁水館の実態が分かった。  犯罪をして出所した人がホームレスになり、衣食住がない人たちをあつめ、大麻栽培に関わらせ、虐待や劣悪な環境で働かせていたこと。  そこで亡くなった人達は近隣の山中で遺体を遺棄していた。   8月12日、(あかつき)町5丁目の山中で、女性の遺体が発見されました。  遺体の損傷がひどく、警察は遺体の身元判明を急いでいます。  外傷が目立つので誰かに襲われたか――。  警察は事件と事故の両面で捜査している。  身元は結花だと分かった瞬間、マスコミが陽鞠のもとへ来た。 『因果応報でしょうね。家族を裏切り、同級生いじめたりしていましたから。やっとこの世を去ってほっとしています。あの人にふさわしい最期だと思います』 『誰かに恨まれたんですないですか? 嫌ってる人いっぱいいましたから』
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