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終わり方を知らない2人の終わり方
イライラを爆発させそうな彼は布団から起き上がる。タバコを吸いに行き、ため息をはくかのような煙の吹き方…
こうなるとビクビクして必死に私が謝っても、それすらイライラさせてしまい、終いには向こうに罪悪感のような気持ちを植え付けてしまう…彼がタバコを吸い終わるまでに、考えた私の浅はかな結論が…真逆の発想…思いきったぶちギレ。
どうなっても良い…ちゃんと思ってる事を伝えよう…側にいられたらっていっても、側にいるのにこんなに遠いなら、意味はないのかもしれない…私は彼を苦しめたい訳じゃない…正直で素直な私が好きなんだと言ってくれた彼を信じて、ビクビク謝るだけじゃなく、本音や本気をぶつけようと思った。
今の俺に火に油を注ぐような発言して、楽しいんか!!?暴力的でヒステリーになる彼と朝までとことん向き合って、ぶつかり合った…そして、結論として出たのが…
じゃあ、合鍵返せよ!!
さすがに号泣した…大事な私の宝物…唯一の居場所の証…だけど、もう仕方ないと思うしかなかった…それが簡単な結論なら…
私は、そこまでのつもりもなかった…
私は、鍵があっても来るなと言われたら行かないし…取り上げられるとは思わなかった…
日が登り、少し明るくなった部屋で、ヒートアップしていた話が、彼のその一言で終わる。
彼が買ってくれたお気に入りのキーホルダーに着けていた合鍵を外す…大事に握りしめながら、彼の手に渡してお礼を言った。
この鍵に私は何度も救われたんだ…本当にありがとう。私にとって、たくさんの楽しかった幸せの証で、宝物だったんだ…そう伝えながら、私は止めどなく流れる涙を堪えられず、それでも笑って手渡した。
何度もありがとうと言って…
すると急に落ちついた彼も泣き出した。
ごめん、持ってて良いよ…そんなにまで大事にしてくれてたって忘れてた…と私に戻そうとする彼を抱きしめて、もう私は大丈夫だから…たくさん話し合えて、ぶつかれて良かったよ…私は家族とも誰ともここまで出来た事なかった…もし返されたら、きっとまたここに帰ってきてしまいたくなるから…と断り、受け取らなかった。
私なりの精一杯の強がりと本音と大人の意地だった…彼の涙を見れただけで、十分だった。
どうしたら良いのか互いに分からなくなって、あんなに息苦しくて、あげくに罵り合っていたのに、最後は心穏やかに、ありがとうと一緒に抱きしめ合って泣いた。
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