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黒木課長がグッと息をのみ、硬直する。数秒、考えた後、顔を寄せた。
すると、突然、ガバッと後ろにのけ反り、腕で鼻を覆った。顔が真っ赤になっている。
「やばい・・・。」
黒木課長が唸るように呟く。日向さんが
「・・・臭かったですか?」
と不安気に聞く。立ち上がってしまった俺は、二人に近づく。
「大丈夫ですか?」
黒木課長の顔をのぞき込む。黒木課長はコクコクと頷くと、鼻を押さえていないほうの手を挙げて、
「ごめん、日向さん。少し離れてもらえますか。」
と言った。泣きそうな顔で後ろに下がる日向さんに
「ごめん、臭かったんじゃない。その逆だから。」
と言った。
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