第十章『正武家グローバル化計画とエクソシスト 中編 美山高校学校祭』

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「何もない護符なら解らないけど、手形が付いていると私にも見つけられるみたい」 「そのようだな」  席に戻った須藤くんの手にはやはり手形付きの護符が握られていた。  手形の(ぬし)も私や須藤くんのようにわざわざしゃがんでまで護符に手形を付けたのだろうけど、触れやすい場所にある護符に触れずにいた理由が解らない。  しかし玉彦には既に法則が読めているらしく、ピタリと言い当てた。  これしか手がかりが無い中で玉彦に解かるのならば私も、と思って考えたが全く解らなかった。 「須藤。下の階の護符を回収した後、グラウンドのステージ近辺で待機せよ。竜輝、多門にも伝えよ」 「えっ!? それは困る、かなぁ……」 「なぜだ」 「だってほら……金髪小僧を捕まえる時間が……」  須藤くんは私を見て、私は窓の外に目を向けた。  訴えをあえて無視をしていると、諦めの境地に至った須藤くんがそう言えば、と玉彦に言う。 「グラウンドっていうか、校門からぐるっと塀伝いに見回ったら木が数本、不自然に()ぜてた」 「はっ? 木って爆発しないでしょ!? 雷でも落ちたのかしら」 「でも隣の木は無傷だったんだよねぇ」  不思議だねぇ、と二人で首を傾げれば、玉彦は須藤くんへ質問をした。 「その木は背が低くはなかったか」 「言われてみればそうかも」 「合点が云った。面倒なこととなりそうである」  すっくと立ち上がった玉彦は自分のパネルに肩をぶつけて、微妙に顔を顰めた。
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