大学4年の終わり

3/6
前へ
/69ページ
次へ
過保護な両親は、最初、私の一人暮らしに反対した。 「じゃあ、社員寮に入るっ。」 そう言ったけど、納得してもらえることはなく。 そこで登場したのが、私の大好きな人、大貴だった。 「お嬢さんは、責任を持って俺が預かります!」 半年前、何の音沙汰も無かった大貴がK県のアパートに訪ねてきて、言い放った言葉に、両親だけでなく、私も腰を抜かしそうになった。 でも、よくよく話を聞くと、大貴が新しく働くことになった会社で、社員寮が1つ空きがある、その会社で働けるのなら、部屋を貸しても良い、という内容だった。 大貴は、私にも言ってくれてなかったのに、両親に、堂々と宣言をした。 「俺は陽葵さんを大切に想っています。これからも大切にしますので、どうか、お嬢さんを俺に預けてくれませんか?」 私は、嬉しくて。 ただの社員寮の同居人でも良い。 大切に思っている、でも良い。 大貴が迎えに来てくれたことが、奇跡の様に幸せなことだと思った。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加