二つ目とガラス

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二つ目とガラス

「みかん投げつけ壁破壊事件の数週間後、」 なんか大袈裟になってきてないか。しかし、まさか俺がやったということが2年ほど前に既に分かっていたなんて。信じられない。 「第二の事件が起こりました。そう。ガラス割れ事件です」 みかんなんちゃらと比べたらやけに平凡な事件だが、確かに玄関の分厚いドアのガラスを思いっきり割って軽く校舎が揺れたという点においては特筆すべき事件なのかもしれない。 ちなみに、割ったのは、 俺だ。 「昼休みに校庭でサッカーを一人でやっていた人物が、そのまま玄関のドアのガラスを崩壊させた事件です。ソロサッカーという犯人の奇妙な行動が話題になりましたが、実はあまり知られていない、重大な事実がひとつあります」 重大な事実。 「ガラスを割った犯人は、別の人にお金を渡すことでその罪を被ってもらおうとしたのです」 あ、バレてたんだ。 当時ガラスを割った直後、俺はよく校庭で遊んでいる高橋という奴に運良く出会ったため、すぐさまありったけの金を渡し、高橋自身がガラスを割ったことにするよう頼み込んだ。自分の立場上、ソロサッカーをしていてガラスを割ったと正直に言うことはとてもできなかった。 しかしそのことが今、こうして吉田先生の口から話されたということはもう、高橋は罪を被ることなくただ真実を述べたということだろう。 「とある人にお金を渡され、罪を被るよう言われた、と、高橋君が言ってました」 高橋君って言っちゃったよ。 クラス全員が高橋に顔を向ける。一方高橋は、俺を睨みつけながらびくともしていない。 高橋のやろう、ただ俺から金を奪っただけじゃねーか、裏切ったな。 「みかん投げつけ事件とガラス割り事件の犯人は、同じ人物でした」 吉田先生の口調がどんどん名探偵の雰囲気に寄ってきている。まさかこれから、その犯人の名前を言うんじゃないだろうな。佐々木でした、って、言うんじゃないだろうな。 「その人物は……」 おい生徒全員前のめりになり始めているじゃないか。 「もう一つの事件にも関わっています」 この先生、まだやる気か。
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