3つ子が恋したら

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リク、カイ、ソラ。 3人は3つ子だ。17歳、高2。 栗色の髪とアーモンドアイの可愛らしい瞳、少しアヒル口な唇。なかなか美形である。 外見で見分けがつくとしたら、 リクには涙ボクロがある。 カイには口元にホクロがある。 ソラには顔にはホクロがない。 以上。 あとは本編でお分かりいただけるであろうか。 「俺、好きな人できたかも」 「まぢ!?俺も」 「....」 3人は未だに実家の同じ部屋に住んでいる。 「どんな人?」 カイがリクに尋ねる。 「んー...カッコいい、優しそう」 「ソラは?いるの?」 「...どうだろう」 ソラは口下手なのか無口なのか。 「会いに行きたいなあ、会いに行こうかなあ」 「行っちゃいますか!リクの好きな人も見たいし!」 3人でリクの好きな人を見に行く事になった。 3人が連れ立って歩くとそれは目立つ。 何しろ、外見は3人とも瓜二つ...じゃない、瓜三つなのだから。 リクを先頭に3人は近所のコンビニに辿り着いた。 3人は物陰に隠れる。 「いたいたあの人!」 リクが指差した先...大学生だろう店員が満面な笑顔で接客中だ。 「リク...まさかあの人!?」 「そうだよ、イケメンでしょ」 「俺もなんだけど」 「俺もって?」 「俺が好きな人もあの人なの!」 リクとカイは、 「またかよー!!!」 と叫んだ。 3人は食べ物の好みもほとんど同じなので、奪い合いになる事が多い。 「いらっしゃいませー、あー、3つ子ちゃん」 長身で黒髪、笑顔があどけなくて可愛い爽やかな青年だ。 彼は3人を知っている。 3人は近所でも可愛い3つ子だと昔から有名人なのだ。 「肉まんください」 「肉まん3つ?」 「はい」 それぞれがポケットから110円を取り出しレジのカウンターに置いた。 「はい、肉まん3つ」 笑顔で3人に3つの肉まんの入ったビニール袋を手渡す。 「あ、そのままでいいです」 カイが言うと3人は店の外に座り並んで食べた。 「まさかリクと同じ人だなんて」 「名前知ってる?」 「見た見た!名札に古賀、てあった。下の名前、なんだろう」 リクがカイに話しているとカイがふふんと鼻で笑った。 「恭一、て言うんだって」 「まさか話したの!?」 「まあね」 「ずるいー!」 ソラだけは至って無言で肉まんを頬張っていた、と、突然。 「喉、乾いた。なんか飲み物、買ってくる」 「ソラだけずるいぞ、俺も行く!」 「俺も!」 そうして3人は再び店内に戻りコーラを買い、また店の外に座ってお喋り。 「くーっ、炭酸がたまんね!」 「見た見た!?恭一さん!て言ったら照れてた、可愛かったあ!」 「...」 「でもどうやって落とすよ?今回は食いもんじゃないし、親が言うみたいに三等分はできないぞ」 リクが言い、しばらく考えた後。 「そうだ!あの人に決めて貰おう」 「どうやって?」 とカイ。 「...それぞれ告って、決めてもらう」 珍しくソラからの提案だ。 「決めてもらう、て同じ顔なのに?」 「...中身は違う」 「確かにそれはそうだけど」 リクとカイの2人が口をへの字にし、うーん、と唸る。 「とりあえず、それぞれ、待ったなしだ!わかったな!」 リクは立ち上がると2人を指差した。
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