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「ねえ、今度の休み、何処か遊び行こうよ、ショッピングとか、あ、映画もいいな」
ギターを手にし作曲中のダイチにヒカルが抱きつく。
「曲、作ってんだよ、あんま、くっつくな」
ヘッドフォンを外すとため息を漏らしながらダイチはヒカルを引き剥がす。
「だって、全然、遊び行けてないんだもん」
「友達と行けよ」
「やだ。ダイチと行きたいの」
またダイチは深いため息をつき、
「今度、連れてってやるから、今は大人しくしてて」
「やった!絶対だからね、約束ね」
ダイチはギターを一旦、置くと、ヒカルにチケットの束を手渡した。
「ライブ、来月だから。余ったら余ったで持って来て」
「来月?余裕じゃん」
ヒカルは微笑み、チケットの束を受け取るとダイチを後ろから抱き締めた。
「ねえ、お風呂溜めるからエッチしよ」
「後でな、今は集中させて。悪いけど」
ヒカルが頬を膨らませるのを他所に、ダイチは再び、ヘッドフォンをつけ、ギターを握った。
結局、深夜遅くまで、作曲に時間がかかり、ようやくヒカルが溜めた湯船にダイチが浸かる。
ヒカルは先に風呂を済ませ、ベッドで雑誌を読んでいた。
ダイチが頭をタオルで拭きながら上がると、ヒカルはベッドから立ち上がり、ダイチにキスをした。
ヒカルに導かれ、ダイチはヒカルを抱いた。
行為が終わるとヒカルは満足気にダイチにくっつく。
「ねえ、引っ越したら?この部屋、古いし、狭いし。ダブルベッドも置けやしない」
「気に入ってんだよ、俺はこの部屋」
ユウとの思い出が詰まった狭い空間。
ダイチは何処かでユウを待っているかのようだった。
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