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「新しい奴入って来るってさ」
「マヂ!?」
「マスターから聞いた、どっか別の店からの移籍らしいよ」
待機部屋で売り専仲間たちの話し声を遠くに聞きながら、ユウはスマホを弄っている。
自分でも情けない、と思うのだが、未だにダイチの連絡先が消せないでいた。
ピコピコ音を立てながらダイチのLINEを開いたり閉じたり。
送るメッセージなんてないのだけど。
「みんな、紹介するわね。入って、ミライくん」
ドアが開き、マスターの後ろに立つ、長身で細身な金髪なイケメン....
ユウは目を疑った。
ダイチだった。
「ミライくん。若く見えるし、お店ではハタチ、て設定にしてるから。みんな仲良くしてあげてね」
ダイチはユウには気づいておらず、
「ミライです、よろしく」
軽く会釈した。
ユウは夢か?とダイチ...ミライを穴が開くんじゃないか、というくらいに凝視した。
「他店に居たんだって?だったら教える事もないか」
ハヤトが立ち上がり、話しかけた。
ハヤトの表情に変化が見えた。
「...何処かで会った...?」
「俺、ボーイ買った覚えないけど」
ふと、座り込み、ダイチを見上げる視線がダイチの目に映った。
「どうして....」
ユウの呟きに答える暇はなく、ミライ、という源氏名のダイチはマスターに呼ばれ、ドアを開けると居なくなった。
まさかの元彼との再開、ましてや、互いに売り専のボーイとして。
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