うそつき

おじいさん

俺がじいさんを殺して、じいさんに成り代わり暮らして、もう7年か。

それだけの時間気付かれずにいたのだと思うとなんだか感慨深い。

今、俺の目の前で静かに茶を飲んでいる見知らぬばあさんは、3年前に本物とすり代わり、今は平凡な暮らしをしているようだ。

いや見知らぬ訳ではないな。前に公園でホームレスとして暮らしているのを見たことがある。

おおかた、ホームレスとして貧乏暮らしに耐えられなくなったというところだろう。

俺は殺し屋をして12年になるが、このばあさんは殺し屋ではないだろうと踏んでいる。

まあ、俺はこのじいさんを隠れ蓑にしているだけで、ばあさんの正体を誰かにバラす気はない。

いつもは特殊メイクでじいさんにそっくりなはずだしな。