Chap,1_01. 花嫁に逃げられた男

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 これからはじまるのは結婚式ではない、自分にとっての初恋を弔うための葬式だ。だって自分はいまも、こんなときでも未練がましく――…… 「朔兄、いるか? 朔にい!?」 「……(あかつき)?」  扉を激しく叩く音が、思考に耽っていた朔を我に却させる。  意識を浮上させ、弟の声に応えれば、勢いよく扉がひらく。  そして。 「結婚式は中止だ! 花嫁が逃げた!」  朔が願っていたことが、現実になる。
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